10月に入ってから経済活動を本格化させるための動きが慌ただしくなっています。
出入国制限の緩和、内需喚起策としてのGo toキャンペーンの拡大、海外でも行われている施策ですが、どこの国も緩和したあとに感染者の増加に悩み、再度規制をかける現状です。
日本では残念ながらまだ第2波が収束したとはいえない状況が続いています。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行による医療崩壊が現実味を帯びていますが、ヒト同土が接触する機会は急増しています。

米国ニューヨーク市の医療崩壊は、その後も当地の厳しい生活制限が続けることでかろうじて危機を脱しましたが、今もってクオモ知事が運日会見を行って州民の人心の安定に腐心せねばならない状況です。しかし、冬期に入り感染者が増え、再び封鎖される地区も出ています。ニューヨーク市の惨禍から私たちが学べる教訓は一度拡大した感染は封じ込めが容易にできないという厳しい現実です。

ロシア、トルコなどの感染拡大国に国境を接する東欧コーカサス地方のジョージアでは政府が感染拡大の早期に積極的に情報公開を行い、ソーシャルディスタンス確保の徹底とマスク着用を基本とした衛生対策の大切さを国民に繰り返し啓蒙した結果、死亡率はコロナ対策の優等生といわれるドイツの10%未満に止まっているそうです。紛争地域に隣接し政情は必ずしも安定していない国ですが、新規感染者は出ていませんし、明らかに封じ込めに成功しています。
台湾や韓国も同じ手法で大きな成果を上げていますが、感染拡大期の早い段階で日常の衛生対策の徹底と情報公開、この2つの目的を国民がよく理解して行動すれば封じ込めができるよいお手本です。SARSの蔓延で多数の死者を出した反省から得られた教訓が国民の意識に根付いている例で、住民の緊張感の高さを感じます。

東アジア地域では日本が群を抜いて感染拡大国になっています。
経済を回すために海外との往来を緩和していくことは必要ですが、海外の人は安心して来日するのでしょうか。
海外メディアが行った調査で、海外を往来するビジネスマンや留学生へのインタビューの集計からは日本には耳の痛い本音が垣間見えます。
「ただでさえ日本はビジネスや学問のしにくい国という感想があるのに、東アジア地域で最大の感染拡大国ならば、わざわざ危険を冒して来日する価値はない。」

危機は続いていますが昨今国内でも地域でも感染予防マナーを守らない人が目に見えて増えていることは今後の大きな懸念材料です。
できるのにマスクをしないで人前に出る、距離を取らず話す、むやみに他人やモノに触る、冬期に手が荒れるから嫌だと手洗い消毒の回数を減らしてしまう。
どれも非常に危険です。
米国やブラジルの大統領が代表例ですが、最も困るのはそのような行動を取る人ほど自分の行動の危険性に気づかないことです。
一度感染拡大してしまった地域では、他人を啓発するより自分を守る行動を徹底するしかありませんし、治療法がない現在、衛生対策の基本を忠実に継続する、それに勝る対策はなさそうです。

「成功には100人の父、失敗は孤児」という言葉は半世紀前に米国の故ケネディ大統領が就任演説で用いた例えだそうです。物事が成功するときは多くの人が地道に努力をして成し遂げることが多いし、結果が良ければその功績を誇る人間は沢山居るが、失敗したときは自分の非を省みずに誰かに責任転嫁する、という世間の欺瞞を強烈に皮肉るとともに、自らの政治責任を明らかにして職務に就くことを誓った言葉です。
「国家があなたのために何を為すかではなく、あなたが社会のために何を為しうるかを問え」という有名な言葉とセットになっている表現ですが、今の私たちが置かれている状況もこれにあてはまりそうです。